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グアテマラに息づく美しい“手仕事”を継承していく – レプレで学んだ SABASABA代表 實石知之さん
2019/6/6
スクール: 東京校 カテゴリー: 作品紹介, 生徒さんの活躍 タグ: グアテマラ, バッグ, 卒業生
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会津塗りや南部鉄器、江戸切子など日本には素晴らしい伝統工芸があり、その地域の歴史や文化、暮らしを語る上で欠かせない存在です。もちろん、皆さんもご存知のことでしょう。
では、他国はどうでしょうか。当然、海外においても、その国々には先祖代々受継がれている素晴らしい伝統工芸が息づいています。
今回は、中米に位置する「グアテマラ」の手仕事を継承し、もっと多くの人へ。そんな想いでものづくりに取り組まれているバッグスクール レプレで学んだ SABASABA代表の實石知之さんにお話を伺いました。
暮らしと共にある手仕事の美しさ
– 早速ですが、ものづくりを始めたきっかけを教えてください
20年ほど前に訪れた中米のグアテマラという国で、手仕事がある日常生活に魅せられたことがきっかけです。
現地のマヤの先住民の民族衣装を初めて見た際に感銘を受け、その後彼らと共に天然染め、手織物、手編み物をはじめとする“ものづくり”で起業しました。
– グアテマラの手仕事の魅力はどんなところでしょうか
鮮やかな色彩、精緻なデザイン、その多様性も特筆すべきですが、なによりも「手仕事が日常の生活の中に息づいていること」です。
手仕事が我々の日常生活から消え去ろうとしている現在、グアテマラでも限られた地域になりますが、軒下で手織物をし、その織物を身にまとう日常があるということは、奇跡であり、手仕事のささやかな希望です。
現地に渡り、信頼関係を築いた
– グアテマラの方々と共に仕事されているということで、どのような部分を意識されていますか
最も大切なのは、お互いの信頼関係を築くことです。
もちろん、日本で販売するにあたり、品質、納期等の問題もありますが、それ以前に「お互いが人として信頼関係をきっちり築けるか?」、それが最優先課題であり、時間と忍耐を最も必要した部分です。
そのため、起業前に3度現地を訪れて、彼らの文化や生活を理解する努力をしました。
– 現在もグアテマラに通われているそうですね
ただ、ものづくりを一緒にするだけでは、こうした信頼関係を構築することはできません。起業を考えてから8年ほど経ちますが、それから毎年、年1~2回ほど各1カ月間、現地で滞在し、彼らとコミュニケーションを図っています。
体制づくりが今後の課題
– グアテマラにおける「ものづくり」の課題はありますでしょうか?
他と差別化できる商品開発と、その商品を生産できるオペレーションの構築です。
手織り、手編みの技術はグアテマラ国内だけでなく、世界中にあり、中途半端な商品では簡単に模倣され、類似品が出回ってしまいます。
「先住民の女性グループとものづくり」や「持続可能なものづくり」等、ありがちな言葉に寄りかかるのではなく、クオリティはもとより、アイデアを出し合い、技術を引き出し、グアテマラの強みを活かし、他で真似できない、競争力のある商品づくり、体制づくりが今後大切になっていくと感じています。
起業後、バッグ作りを学ぶ
– 少し話を変えます。實石さんは起業後レプレに通われていますが、きっかけはなんだったのでしょうか
グアテマラの手仕事に魅せられ起業したのですが、自分自身に手仕事の知識、スキルが全くなく、これでは現地の方とも対等な立場で話が出来ない状態でした。
そこで、まずは、自身にものづくりのスキルを身につけるべく、また、今後の商品化も想定しバッグを選び、教室に通いました。
数あるバッグスクールからレプレを選んだのは、バッグの作り方はもちろん、道具や資材の使い方、選び方、購入の仕方まで、趣味の延長としてだけではなく、生業として活動できるまでのカリキュラムがあったからです。
日常に溶け込むような作品を
– ご自身の作品の“こだわり”はどんな部分ですか
グアテマラの手仕事と強く関わっているので、グアテマラの素材を活かしたものづくりを前提とし、普段使いとして楽しめる、シンプルで丈夫なものづくりを心がけています。
– これまで製作された中で特に思い入れのあるアイテムはなんでしょうか
はかまにレザー、表地にグアテマラの先住民族の伝統織物を使ったトートバッグです。バッグ教室の自由作品で作ったバッグがベースとなっています。
国境、ジャンルを超えて
– 今後取り組みたいことや企画していることなどございましたら、教えてください
バッグ・アパレルの分野にとどまらず、日本、グアテマラに限定せず、他のジャンルを融合し、国や地域を飛び越えたものづくり、ことづくりをしていきたいと思っています。
-お答えいただきありがとうございました
手仕事で繋がる
ご自身で学ばれたバッグ作りの技術と、グアテマラの方々の手仕事による色彩鮮やか、かつ繊細な生地。
ものづくり、と聞くとなんとなく職人さんが黙々と一人で作業している光景が目に浮かびますが、実際には多くの人が協力し合うことで一つの製品が生まれています。
国や文化、ジャンルがミックスされたSABASABAのものづくりから、今後どんなものが作られていくのか楽しみでなりません。
實石さんをはじめとするSABASABAの取り組みに関して、より詳しく知りたいという方はぜひ以下の公式サイトよりチェックしていただければと思います。
interview & text by 緑川航平